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第2回日本健康医療学会大会報告

2009 年11月22日東京医科大学にて第2回日本健康医療学会が開催されました。私は理事であることもあって参加してきました。どのプログラムも健康について大事な内容ですのでごく簡単に報告します。

プログラムは

1、咀嚼の果たす健康への役割

2、糖尿病における心血管障害の予防 

3、美容外科医から見た日本人の老化 

4、急増する乳癌~検診の重要性 

5、メタボィック症候群と肝疾患 

6、心血管病の発症予防における中心血圧の意義 

7、くらしを守る、命を守る 口腔ケア でした。いずれも第一線で活躍されている著名な先生の講演でした。

 

 

1、咀嚼の果たす健康への役割   での簡単な内容はーー

(1)咀嚼機能の適正な維持と高次認知機能の加齢変化の予防とどのような関係があるのか。  

(2)咀嚼が認知症の進行を制御できる可能性がある。  

(3)実証のため臨床疫学調査を充実したい。 ということでした。

 

 

2、糖尿病における心血管障害の予防  での簡単な内容はーー

(1)心疾患と脳卒中を合わせた心血管疾患による死亡は、日本人の総死亡の30%近くをしめ、1位の悪性腫瘍34%につぎ2位である。  

(2)糖尿病患者では心血管疾患の発生率が高いことが分かっている。  

(3)糖尿病とその予備軍と考えられる人は年々増加している。  

(4)糖尿病患者の心血管疾患の予防には血糖値のコントロール、特に食後血糖のコントロール、血圧のコントロール、脂質のコントロールが重要である。  

(5)心血管疾患の発症は境界型糖代謝異常の時期から始まっており、より早期からの対策が重要である。

 

 

3、急増する乳癌~検診の重要性   

(1)日本で乳癌が増加し、年間約4万人が罹患し、1万人が死亡すると言われている。  

(2)早期発見のためにマンモグラフィーと超音波を併用して検査すると、検出率がアップする。 

(3)年1回の検査をする。  

ーーーーかかりやすい条件 

(1)乳癌の家族歴がある。

(2)初潮が早く、閉経が遅い人。

(3)出産経験がない人。

(4)閉経後の肥満。

(5)アルコール多く飲む人。

(6)対側乳癌の既往のあるひと。   

日本人40代後半にピークがある。

----浴室でのチェック法ーー

入浴中、石鹸がついているときに4本の指をそろえて、指の腹ですべらせてみるとわかる。 つまむのは乳腺をつまむのでわからない。

 

 

4、メタボリック症候群と肝疾患    

(1)脂肪肝のある例ではメタボリック症候群の合併率はない例と比べると5倍~10倍上昇する。   

(2)肝炎の75%以上はウイルス性、HCV60%、HBV25%   

(3)肥満をはじめとする生活習慣病を基盤とする肝疾患が増加している。   

(4)最近脂肪性肝炎から肝硬変、肝癌を合併する例が散見される。   

(5)HCVに対するインターフェロン治療や肝癌合併に生活習慣病が影響している。

   これらの対策として体重をおとすことが一番良いことである。

 

 

5、心血管病の発症予防における中心血圧の意義    

(1)中心血圧とは心臓から出た直後の血管における血圧のこと。  

(2)中心血圧は血管が硬いと上昇します。  

(3)中心血圧が高いと心臓に負担がかかり、心血管病の発生が多くなる。  

(4)結局、「中心血圧で寿命が決まる」

---中心血圧の原理ー中心血圧の上昇を表す指標の一つとしてaugmentation index(AI)という言葉がある。心臓から血液を送り出した時に発生する圧力(駆出圧波=善玉血圧)と、この駆出圧波が血管を伝わって末梢に進んだ時に血管から受ける反発の圧力(反射圧波=悪玉血圧)の比率で求められます。このように収縮期血圧は二つある。  

(5)血管が硬いほど反発が強くなってAIが上昇し中心血圧が上がります。  

(6)血管が硬いのは血管の素材そのものが硬い状態(加齢、糖尿病、高脂血症等)と機能的に硬い状態(高血圧、喫煙、交感神経緊張、ストレス等)の二つがあり、どちらも中心血圧を上昇させる。 

(7)高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙は心筋梗塞の4大リスクファクターです。   

(8)心筋梗塞は生命の危険を伴う病気ですが発症する直前まで自覚症状がないのが特徴。

予防にはーー

(9)健診を毎年受けて血圧、血糖値、コレステロール、中性脂肪、を基準値以下み保つことが重要  

日常的にはーー

(10)腹八分目の食事  

(11)週2回、1日20分続けて歩く。 

(12)良い睡眠をとる。 

(13)ストレスをためない。 

(14)禁煙ーーこの四つは副交感神経を高めるもの  

(15)喉が渇いたら水をのむ(夏は塩分もとること)。 

(16)汗をかいたら塩もとる。 

(17)ふくらはぎでつま先だちをするーーひらめ筋グツグツともどると循環が増して血管が若返る。

 

 

6、暮らしを守る、命を守る 口腔ケア   

(1)口腔の問題と全身の健康との関連が様々に調べられている。  

(2)口腔衛生状態の悪化によって、肺炎を引き起こす。口腔ケアはそれを予防する。  

(3)最近では、インフルエンザの予防にも口腔ケアが効果を発揮するという報告もある。  

(4)口腔ケアによる口腔への刺激が、認知機能の低下予防に効果ある。  

(5)飲みこみ反射や咳反射の改善に有効である。  

(6)歯を失っても、義歯をしっかり入れることで、転倒の予防になったり、窒息の予防になる。このことは介護の場で理解されていない。  

(7)奥歯の噛み合わせがないことと認知機能の低下があると食事の自立が難しくなる。これは窒息の独立した危険因子である。  

(8)義歯があっても口(口低、舌、頬,口蓋)が動かないと咀嚼できない。--器質性運動障害  

(9)加齢、脳血管障害、神経性疾患等の運動性咀嚼障害もある。

 

以上6つの特別講演の他に次にあげる9つの一般演題が講演された。

(1)線維筋痛症における血行動態不良症候群の検討 

(2)左上肢CRPSの治療経験ー全人的医療の文脈を通じて 

(3)鍼刺激の酸化バランス防御系への影響 

(4)睡眠障害と生活習慣病 

(5)口腔内マッサージによる血圧、脈拍数、SPO2の変化および口腔乾燥、口臭に対する効果について

(6)矯正歯科治療と口腔・全身の健康とのかかわり 

(7)歯医者さん達の忘れ物 

(8)外来患者さんの生活指導の看護師・栄養士の役割 

(9)卒後臨床研修について

上記一般公演の(5)についてだけ内容を報告します。

ーーー最近、口腔乾燥や口臭など、痛い、噛めないといった主訴を持たない方への対応などで、歯科衛生士による専門的口腔清掃を行うクリニックも一般的になり、健康増進を目的に審美やアンチエイジングのための取り組みも見受けられる。スマイルトレーニングの一環として大頬骨筋、小頬骨筋、口角下制筋、下唇下制筋、笑筋、口輪筋、および歯肉などを口腔内より適切な圧力でマッサージをおこなう。口腔乾燥は高齢者に頻繁にみられ、嚥下障害など口腔状態の悪化をもたらし、誤嚥性肺炎など重篤な疾患につながる。適切なマッサージは口腔乾燥の予防、口臭を減少させ、人々のQOLを高める。また近年増加している局所麻酔下で行われる歯科インプラント手術などの術前に行えば血圧、脈拍を安定させ、処置を安全に行ううえで効果があると考える。

以上第2回健康医療学会大会の報告を終わりますが、生命や健康について知っておいたほうが得なことばかりですので何回も読んでみてください。

    

                                             

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